John Doe(短編小説)

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グッド・バイ


私は砂浜に座り、潮風を全身に浴びながら、夕陽に染まった真っ赤な海を見ていた。
私は大きく息を吸い、吐いた。それを何度も繰り返しながら、まだ薄ぼんやりとした輝きを放つ三日月を見た。
私は世界中に溢れる優しさを受け止めている気がした。
私は世界中に漂う無数の幸福を感じている気がした。
聞こえてくるのは、波の音と不安定な心音。
しかし、私は今、幸福だった。
もはや恐怖などどこにもなかった。
子供の頃、私は母の死を想像しては枕を涙で濡らしていたのを思い出した。
だが、母はもうずっと昔に死んだ。
人間はいつか死ぬ。
だけど、それが悲劇だなんて到底思えない。
この奇跡のような瞬間。
この魔法のような感情。
全てが尊いと思った。

さようなら、地球。

私は、本当に幸せだったな。

12/12/2023, 4:26:45 AM