夢と現実
夢は刃の様に残酷だ。
触れれば、心が裂け、痛みを与える。
だから私は、現実を握り締める。
…君が私を愛している事を知りながら。
叶わぬ夢。
君と手を取り、この醜悪な世界を去り、
冥府の闇へと堕ちて行きたい。
それが叶わぬ夢だと、分かっていても、
私は君にそう願ってしまうんだ。
だが、君は、
私の渇望に気付く事なく、
無邪気な瞳で私を見詰めている。
私は夢を、
心の奥底に押し殺し、
君に微笑みかけるしかないんだ。
……
現実は、
鋭利な光のように残酷です。
叶わない願望さえ曝け出します。
だから私は、夢に浸るのです。
…貴方が私を愛している事を知りながら。
叶わない現実。
貴方に抱き締められ、口唇を重ね、
貴方と私の境界を消して、溶け合いたい。
それは現実にはならないと、分かっていても、
私は貴方にそう願ってしまうのです。
ですが、貴方は、
私の心の叫びには耳を貸さず。
優しい微笑みを浮かべるのです。
私は現実に、
重たい鎖の様に縛られ、
貴方に微笑むのです。
……
夢と現実が重なり合う瞬間、
刹那の閃光が迸る。
後に、残るのは…。
夢か、現実か。
それとも、
真っ赤に染まる生と死の、
…二人だけの永遠か。
12/5/2024, 5:09:46 AM