ルールが人を守るのか
人がルールを守るのか。
弾丸を吐き出した銃口から白煙が上る様子をぼんやりと見つめる。"人を傷つけてはいけません"と教わったのはいつだっただろうか。
「ひ、人殺しっ!」
背後から聞こえてきた声にゆっくりと振り向く。返り血で塗れた君が恐怖と嫌悪の瞳で私を見上げていた。
私がコイツを殺さなければ今頃君が死んでいたのに。
喉まで迫り上がってきた言葉を飲み込み君へ一歩近づく。君の震えが強くなった。
「そうだね」
赤色に濡れた君の頬に手を伸ばし指で拭う。掠れた色の下から真っ白な肌色が現れた。私が大好きな君の色だ。
「それで構わないよ」
君を守れないくらいならルールなんて守る必要ないんだよ。
4/24/2023, 2:18:54 PM