「天気予報が嘘をついた」
好きな曲のワンフレーズを口ずさむ。
突然泣き出した空の機嫌を伺いながら、なんてぴったりな歌詞だろうかと思わず笑って。
洗濯機を回しているのに、というこちらの不満も聞こえないふり。何がそんなに悲しいのだろうか。
「雨は好き。頭が痛くなるのは嫌だけれど」
少し重くなった頭を机に預け、目を閉じる。
雨音が響く静かな部屋に鼻歌がにじむ。
急に暇になってしまった……こんな時はミルクティーでも飲むに限る。ケトルのスイッチを入れた。
「……あれ?」
ケトルがご機嫌な歌を奏で出したところで、雨音が止んでいることに気付く。
カーテンをめくってみると、気分やな空はいつの間にか泣きやんでいて、うとうとと夜の瞼を下ろそうとしていた。
「もう少し、早ければなぁ」
西日に目を細め苦笑する。
まぁ、でも、たまには何もしない日もいいかもしれない、と自分に言い聞かせて。
のびをひとつすると、ミルクティーを入れるために台所へと向かったのだった。
9/27/2022, 10:18:49 AM