アリス

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どこまでも透明で、綺麗で、汚れを知らない水晶。
宝石言葉は「純粋」「無垢」「完全」
汚らわしくて、卑怯で、嘘つきの私とは全部真反対で、それがひどく、悲しかった。

触れることすらためらった。
私が触ったら、美しい宝石すら、汚してしまう気がして。
それは私の恐れから来る思い込みで、本当は触ったって私の汚れが移るわけじゃない。
分かっていても、触れられなかった、

それがなんとなく、幼い頃の思い出に似ていると思った。
触れたいと思っても、触れることはできないけれど。
思い出は綺麗なまましまっておくのが一番いい。
私は、今思い出すと胸が痛む、ひどく美しい幼き思い出が
透明な水晶によく似ていると思ったんだ。

【クリスタル】

7/2/2025, 12:20:04 PM