ハクリュウ

Open App

今日もアイツは壁際に追い詰められる。
いつもとは違って、俺が前に出て事を納めにかかる。
「止めろよ!」
「なんだよ、急に偉そうに!」
俺は男子トイレに連れて行かれて、水をかけられてしまった。
畜生。
なんなんだよーーーーーーーーーーーーーー

アイツは学校で一人だ、いつも。
友達を作ろうとしているようには到底見えない。
どうしてか?
「いらないんだ。」アイツはそう言っていた。
アイツと周りの人間との間には透明な壁があるんだ。
それは小学校の頃からそうだった。そして中学でも…

俺はアイツの事をずっと見ていた。
そもそもアイツが友達が出来ない性格なのもわかった。
なんだかそれが惨めに見えた。
だから俺はずっとアイツを気にかけていたんだ。

水をかけてきたヤツらはどっかに行って、
俺のクラスの委員長が男子トイレに入って来た。
「君、止めろよなんて言えるんだね」
「俺だってやられっぱなしは嫌だもん」俺は少し胸を張る。
「僕も、彼らの仕打ちには思う所があるんだよ。ね、協力して彼らを先生達に告訴しよう!どう?」
アイツは少し考えた後、
「う、うん。賛成」と答える。
「んじゃ、僕と君は友達。よろしく!」
アイツが少し嬉しそうだった。
もう、俺が表に出る必要は無いみたいだ。
アイツにはいい友達が出来たみたいだしな。

「ふたりぼっち」

3/21/2023, 1:42:58 PM