歩みを進めるごとに、かさりかさり、と乾いた音が木霊する。日の落ちた遊歩道に人影はない。
等間隔に並んだ街灯が枯葉の敷かれた道をぼんやりと照らす。
やけに静かな夜だった。
車道を走る車の音も、いつもどこかで鳴っているサイレンも、風の音も、虫の声も、羽音さえ聞こえない。
ただ僕の足音だけが、響いている。
かさり、
―――かさり、
かさり、
―――かさり、
僕のものに重なり合って、別の誰かの足音が聞こえる。
それは歩調を合わせるように、付かず離れず追いかけてきた。
立ち止まり、振り返る。
深閑とした闇が伸びているだけだった。
自宅の玄関のドアを閉めて三和土で靴を脱ぐ。
廊下を歩くその後ろから、
―――ぺたり、
―――ぺたり、
僕は何を連れてきてしまったのだろう。
2/19/2024, 11:53:17 PM