「幼馴染と、こたつでみかん」
炬燵──それは一度入ったら出られない、悪魔の暖房器具。
幼馴染歴二十年を超える男友達と炬燵に入り、ダラダラとテレビを見ながら、みかんの皮を剥く。これぞ日本の年末年始って感じでいいねぇ。
ティッシュの上に半分に割った中身を置き、一房ずつ白い筋を取り、再びティッシュの上に並べていく。
幼馴染がそれをつまみ、躊躇うことなく自分の口の中に放り込んだ。
「ちょっと、ねぇ!」
「ん?」
「それ、私が剥いたやつだよ」
「うん。知ってる。ありがとう」
「そうじゃなくて!なんで食べちゃうのよ!」
「え、俺に剥いてくれてるんじゃないの?」
「なんでだよ。私が自分で食べるためだよ」
「そっか。悪い悪い」
そう言って彼は「ほれ、あーん」と、みかんを一房私の口元に差し出す。
「あのねぇ」
「食わねーの?」
半ば無理矢理、口の中に押し込まれてしまった。
そんな私たちのやり取りを見ていた母が一言。
「あんた達、本当に仲良いわねぇ。いい加減、結婚すればいいのに」
後半のセリフは余計だよ、お母さん!
────みかん
12/30/2024, 8:18:45 AM