僕はひとりぼっちだったから、はじめはただ、寂しさが埋まればいいと思っていた。
君と出会った日、恐る恐る僕に近づいてきた君を見て、僕は急に怖くなった。その責任の重さ、重大さに。
はじめての夜、寂しそうに震える君の泣き声に、僕は胸が痛み、苦しくなった。そしてその痛みの分だけ、必ず君を守り抜くと誓った。
君が幸せかは僕にはわからない。けれど、君が安心して暮らせる場所を作ることはできる。僕は君を最期まで守り抜く。
あの日、君が旅立った日。
もう今年は蕾をつけないだろうと思っていた庭の植物がはじめて蕾をつけた。僕らが一緒に食べた野菜の種から育った蕾だった。
その蕾に僕が気付いた頃、君は眠ったまま旅立っていた。
僕は君と出逢ってよかったと思うよ。
別れが来ても。寂しくても。
君と出逢ったことで、たくさんの出会いがあった。ひとりぼっちだった僕の世界が広がった。夢ができた。仲間ができた。
全部、君がくれたものだ。
天寿を全うした君を誇りに思う。
また会おう。いつか。
『君と出逢って』
5/5/2024, 7:25:17 PM