イブリ学校

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「もう終わりにしよう」
ヒーローはそういった
「お前が終われ」
悪役は答えた

ある時、ヒーローはすべてを手にした場所で生まれた。
ある時、悪役はすべてを失った場所で生まれた。

その後、ヒーローは最善の未来を選択する力を手にする代わりに弱き者に寄り添う心を失った。
その後、悪役は最悪の状況に身を置く代わりに、全ての弱き者に寄り添う心を得た。

ヒーローは最善の未来のために、許容できない人間を切り捨て、最低の人間だと言われるようになった。ヒーローは泣いていた。
悪役は切り捨てられた人間を哀れみ慈しみ、最も素晴らしい人間だと言われるようになった。悪役は怒っていた。

そして革命が起こった

ヒーローは自分の家族を逃がすために、急いで自分の家に帰った。そこにはヒーローの家族の首元にナイフを押し当てる悪役がいた。ヒーローは泣きそうになりながら言った「頼むやめてくれ…」
悪役は言う
「切り捨てられる人間の気持ちを知っているか?」
それから、ヒーローは泣きながら、切り捨てた理由、そうせざるを得なかった事情、それらに対する後悔を説明をした。その時、悪役はヒーローの後悔に動揺した。悪役は、もしも出会う形が違ったならば理解し合うことができたかもしれないと思った。悪役が迷っていると、外で革命を起こす切り捨てられた人間たちの声が聞こえてきた。それを聞いた悪役は無表情になりこう告げた。
「これで少しは分かるだろう」
ヒーローの家族は喉を切られ苦しそうな呼吸をしながら息を引き取った。そしてヒーローは泣き叫びながら自分で切り捨てた人間たちに取り押さえられた。そして、人々は悪役に対して
「彼こそがヒーローだ」
そう言った

悪役は死刑台に立ちヒーロに向かって言った。
「もう終わりにしよう」
ヒーローはいった
「お前が終われ」


10/3/2023, 12:04:51 PM