ゆじび

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「なぜ泣くの?と聞かれたから」



「なんで泣いてんだ?」
貴方が私に初めて話しかけてくれたとき、私達はまだ小学生だった。
私よりも背が低くて。
いつも顔に泥をつけていた。
遠くから見るときっとよくいる小学生だったんだろうな。でも私から見ると私を救ってくれたヒーローで。
顔の泥も戦いの証だと思ってたっけ。
大好きだったなぁ。

そんな私が成人した今でも君を大好きだと思うのは
君に恋をしていたんだろう。
大好きだと思うのは自分勝手だろうか。
伝えない恋は罪なのだろうか。
この恋もいつかはなくなってしまうのだろうか。
この恋は愛に変わることなく消えてしまうのか。
大好きだと告げられるほど私の心は強くない。
でももし強かったら。
君に救われることもなかったし、出会うこともなかったかもしれないね。

大好きだよ。
(友達として)
また会いたいです。
(友達として)
今度一緒に映画館にいこうよ。
(友達として)
もしよかったら家に来ない?
(友達として)
違うよ。全く違う。
私は友達としてじゃなくて1人の恋する乙女として君のそばにいたかったんだ。
大好きだと言う気持ちに余裕はないよ。
友達としてという誤解を解くほど私に余裕はなかった。


君が死んだ今年の冬。
寒くて苦しい。
去年の冬は公園で特大雪だるまを作った。
近所の友達を呼んで雪合戦をした。
こんな冬が永遠と訪れればいいのに。と思っていた。
こんなにも苦しい冬は久しぶりだ。

涙があふれでてくる。
公園の隅で。君が初めて私に声をかけてくれた場所。
もしかしたらここでずっと泣いていたら君は私に会いに来てくれるかな?
「なんで泣いてんだ?」って。
そしたら私は答えるの。
「君がいなくなったから」って。

もう帰ろう。
夕方になったら泣いて、泣いて家に帰ろう。
私が泣いていても私の勝手でしょう。
会いたい相手がいなくなった私には君を思って泣く、時間が大切に感じる。
会いたいって唱える前に涙で口をふさいでやろう。
弱音を吐かず、君が安心して逝けるように。

8/19/2025, 4:29:04 PM