お題
「明日世界がなくなるとしたら、何を願おう。」
教室で友人がそんな他愛もない問いかけをしてきたので考えてみたけど、なくなるんだったら何を願っても同じじゃない?って話になった。どうせなら痛かったり苦しかったりしないといいよねと言うと「それな」と合わせてきて話はおしまいになった。
帰り道、一人になってから小さく溜息をついた。明日世界がなくなるのは本当なんだよ。だって私がなくしちゃうんだから。私に与えられた唯一の才能。気が付いたのは少し前になる。ある日夢をみて、いわゆる御告げみたいな感じで知ることになった。どういう原理かは分からないけど、前の日のうちに心に決めると、次の日に世界がなくなるってわけ。
いつ世界をなくしてしまうか、そもそもなくさないでおくかは、私次第だ。私だってやりたいことはあるし長生きしたいからなくしてしまうことは本意ではない。出来るだけ引っ張って、もう何もかも気が済んだらなくしてしまってもいいかもしれない。もし結婚して子どもが出来て孫とかも出来たら、なくさないほうが良いのだろうとも思う。
そもそも世界をなくしてしまうだなんて大変な才能だと思うんだけど、みんなはどうなんだろう。足が速いとかピアノが上手いとか、そういう才能と同列にしてしまっていいものなのか。小さな頃から何をやっても下手くそで、運動も苦手だしドジだし忘れっぽい私には何の才能もないと思っていたけれど、まさかこんな才能があるなんてね。
色々と悩んだ挙げ句、せっかくの才能を使わない手はないと思って、今朝曲がり角で男の子とぶつかって転んだ時に心に決めた。
5/6/2023, 10:45:45 AM