落花
私は恋をしている。
あの子はアネモネ
肌は百合
白く汚れがなく
花明りの様にあの子は光って見えて
誰もが目を細めてしまう
髪はドライフラワー
優しい茶毛で
断髪した髪でさえ
生きている
香りはラベンダー
あの子の香りは高雅で
すれ違いざまのその薫香は
誰もが立ち止まり陶酔し
誰もが振り返り恍惚する
あの子はまさに高嶺の花
峰に咲いたその美花は
恐れ多くて
誰も触れられない
あるよく太陽がこちらを見つめている日
あの子は導かれるように
階段を登り屋上へ向かった。
私はあの子に導かれ追いかけた
あの子は柵をよじ登った
私は急いで走った
柵の先に立つあの子の手に初めて触れた。
「私はずっとひとりぼっちだった。
最後に温もりを思い出させてくれてありがとう。」
あの子は微笑みながら落ちて逝った。
私はふと花の名前の子は短命だという迷信を
思い出した。
私が密かに貴方につけた名前
「嗚呼アネモネ私を置いて命を散らして
逝かないで。」
私は涙を散らして泣いた。
----------------------------------------------------------------------
説明
アネモネは色によって花言葉の意味合いは
変わりますが
「君を愛す」 「儚い恋」などがあります
6/18/2023, 11:12:56 AM