美しいものは簡単に壊れる。
落ちたら割れるし
すぐ汚れるし
ぶつけただけで歪む。
美しいものほど
扱い方が複雑になってくる。
では美しくないものなら
雑でもいいのか?っていうと
それはまた別になってくる。
大体のものは
普通のものなんだけど
ある特定のものは
今後のその人の運命を左右する
重要なものとなる。
つまり日頃からどちらも
大事にするべきであって
雑に扱っていいわけがないってこと。
何があってもね。
自分を救うものとなるかもしれないから。
そんないつかの日のために
人はものを大事にする。
自分のために他のものを大事にする。
最初からものを大事にする人は
滅多に居ないから
私はあの子がそんな子だったと知った時
もちろん驚いた。
迷子列車「夜の鳥」の運転手。
私は今
ただ代わりに運転しているだけで
本当の運転手はものを最初から大事にする
ポンデリングヘアの人。
彼女は私が見てきた中で
一番夜更かし好きな人だった。
彼女が持っているものには
汚れもヒビも歪みもない。
ただどれも唯一無二の代物で
壊したら二度と手に入らないと言わんばかりの
扱いようだった。
そういえば昔ある人に頼まれて
運転手になったって言ってたような…?
"Good Midnight!"
そんなことを思い出しつつ
また尊敬しつつ、
今日も私は彼女の代わりに
「夜の鳥」を運転する。
6/10/2025, 3:54:49 PM