透明度の高い浅い水面が、遥か遠くまで続いていた。水面に青空が映り、空の中に佇んでいるようだった。
水の中に走る私のレールは、皆とは逸れ急カーブを絵描き暗闇へと走る。
足や手の皮が厚くなり、生きる為の傷を全身に作りながらも私は歩き続けた。
皆の後ろ姿がようやく見え、嬉しくて水面を蹴りながら走り寄る。
けれど皆は、畏怖の視線で「当たり前の道を外れた者」と一瞥し、はじめから居なかった者と認識したようだった。
私は下を向き静かに微笑む。傷だらけで無骨な自分の手を眺める。
一瞥をくれた者に近寄り、そっと頬を撫でた。
怖がらなくていい。
私はあなたを占有しようとしないし、支配もしない。
痛みを知っているからこそ、伝えようと思っただけ。
足元を指差す。
瑠璃色のネモフィラの花が何処までも続き風に揺れていた。
題:空を見上げて心に浮かんだこと
7/16/2024, 7:24:28 PM