脳裏に焼き付く思い出は、
何故か夏の記憶が多い。
その中でも、
毎年必ず思い出す夏がある。
校舎のベランダ、
人気のない駐車場。
茹だる暑さの中、
あの子と交わした言葉。
その日はとても暑いにもかかわらず
僕らは大人に隠れて
寄り添って話していた。
今思い返せば
あの子はもしかして、
と思うことがある。
まだ幼かった僕は、
あの時の感情に名前がつけられずにいて
その存在に気づくことさえできなかった。
夏は人をおかしくする。
きっとあの日も
暑さでどうかしていたのだろう。
それでも僕は、
一生あの子のことを
あの暑い日のことを
忘れられずにいるのだろう。
『あの日の景色』
7/8/2025, 2:20:46 PM