『20歳』
成人しなければ良かったと思う。
大人になってから、人生が途端につまらなくなった。
酒を飲みながら、仲間のくだらない愚痴に付き合って面倒な誘いを受け流し、意味もなく時間を浪費する毎日だ。
煙たいだけのタバコも無理やり肺に流し込み、格好を付ける自分が大嫌いだ。
でも不思議なことに、時が経つにつれてそれが当たり前になっていった。
こうやって大人になっていくんだな、と思った。
今はただ切実に、少年だった頃に戻りたい。
金なんかよりも、あの頃のがむしゃらに齧り付いていたような日々が欲しい。
建前だけの綺麗さなんていらないから、バカみたいにくだらないことで死ぬほど笑えた時に、一瞬でもいいから戻りたい。
友達と掴み合いになった日の帰り道、先生に奢ってもらったアイスの味、泣きながらボールを打った時の眩しい日差し。
その全部を今でも鮮明に思い出す。
当時はそんな泥臭い日常が、嫌いで嫌いで仕方なかった。
でも今の空っぽな俺には、あの時のもう二度と手に入らない情熱や思い出が、羨ましくて仕方ない。
もしもう一度戻れたら、どんなに幸せだろうか。
どんなに思い出を増やそうとしても、増えるのはピアスの穴と煙草の空き箱ばかりだ。
1/10/2026, 12:00:21 PM