――何年目かわからなくなるまで。
「九年目はトウキらしいな」
「え?」
美しい仕草でチーズケーキにフォークを差し込みながら、友人が突然言った。思わず、桃を口に入れようとしていた手が止まる。トウキ?
「とうき、って何」
「食器などに使われる陶器だが」
「え、うん。それが九年目?」
「ああ。結婚九年目を陶器婚式というそうだ。ほら、五十年目の金婚式が有名だろう」
「あー、そういうこと!」
相変わらず言葉の足りない話し方だ。まあ、こちらを信頼しているからこそだというのはわかるけれど。気を抜いているのだと思えば悪い気はしない。
「食器類は足りていそうだな……何か入り用なものはあるか」
「んん、特にないかなあ」
後日加筆します。
(夫婦)
11/22/2024, 12:58:06 PM