ひちめ

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急に距離を近付けないで。
ビックリするし、ドキドキする…。
好きなはずなのに。好きな、はずなのに。
恥ずかしくて、なんだか怖く思えてきて、
距離をとる。
そしたら猿笑いのような微笑みで指を絡めてきて、
もう私は駄目になった。
彼の事をいきなり嫌いになった。
そうやって触れられたのが下心があるような気がして、
また心も距離をとって、
離れた。
おい!!と呼ばれたような、
でもごめんなさい。もう私、あなたとはいられない。
辛いの。辛いの。ごめんなさい。
「また逃げるのか?」
そう自分の中で言われた気がしたけど、
でも違うの、違うの。
逃げるんじゃなくて、帰るだけなの。
そうやって言い訳しながらビルの明かりで照らされた、
妙に明るい闇を走り出す。
ゼーゼーと呼吸しながら走る。止まらないで。
走る。走る。辛さと息苦しさで胸が張り裂けそうな
そんな感情で。
これが映画のワンシーンだったらどれだけ美化してもらえたのだろう。
わぁっと転けた。盛大に。
またそう思う。私の人生も、全部綺麗になったらな。

12/1/2024, 4:01:50 PM