渚雅

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霧───

特段、意識したこともないけれど、それが己の生活の一部であったのだと気がついたのは社会人になって地元を離れたタイミングだった。

天気予報で注意がないこと、早朝の視界が晴れやかなこと、霜の対策をする茶畑が存在しないこと。満員電車にも街中の喧騒にも慣れた今さらにもなって、ふと、もの寂しさを覚えた。


「曖昧な景色」

それが好ましいと、漸く気がついたから。


「帰ろう、かな」


テーマ:【光と霧の狭間で】

10/19/2025, 3:16:55 AM