いつだって絶体絶命。
生きているようで、片足あの世に行っているみたいで。
本当に、いつだって不安定で、不思議で、陽炎みたいで。
そんなあの人が唯一生きていると実感できるのは。
一心に踊り続けている時。
まるで”踊るように”、命さえ投げ出しかねない人だから。
だから側にいたんだ。だからきっと、追い付いてくれるって、信じてたんだ。
でも、違った。あの人にとって自分は、勝手に先に行って置き去りにした最低な相手になってた。
言葉にするのが苦手な人だから、先回りしたことだってある。
それが、あの人にとっては身勝手で自分勝手に写ったんだろう。
きっと付いてきてくれるって、いつか本音を話してくれるって、信じてた。
けど、後に続いていないことに気づかなくて、待たなかったことが悪いのなら。
本音を聞いたのに、例えで誤魔化して言ってくれなかったことに気づかなかったのが悪いのなら。
待つこともしないで、意味に気づかなかった自分が悪いんだろう。
だから、どうか、その人とは幸せになって。
まるで”踊るように”、軽やかに並んで歩く2人を見送りながら。
言葉にならない絶望と、もしもを願う浅ましさを嗤うしかなかった。
踊るように
9/7/2023, 11:36:38 AM