モンブラコン*

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       モンブラコン*
~~~~~~~~~~~~~『神様へ』

「をおぉおぉほぉぉ〰️♡」
 テイちゃん(兄)が持ってきた段ボール箱を、
姉が大はしゃぎでバリバリ解体している。
「姉さん、また通販?一回頼むとパンフレット
延々と届くんだから程々に…」
「こりはなっ、へでんのれんぬぅにゃのだ!」
 …これは秘伝の練乳なのだ、と言っています。
よくそれで注文出来たな、オペレーター神だ。
 早速一本、チューブを取り出し、哺乳類の様に
咥え、5秒で飲みきった姉は驚きと感動の表情で固まり、空のチューブを床に落とし(テイちゃんがキャッチ)、居間の黒電話へと走り出した。
「何!?何!?どしたの?」
「このくもつば、ちゅくた人間にちゅたえねば!
ほんてぃにこだわるぬぇで、ちゅくたんばねて」
 どうやら作った人にお礼を伝えたいらしい。
 テイちゃんが電話番号の書かれたパンフを
持ってきてしゃがみ、黒電話の番号を長い指で
回す、その間姉さんは両手で受話器を持ちながら、待ちきれない様子で身体を小刻みに揺らしている。何か心配(電話の向こうが)なので、
オレも寄り添うことにした。
「もすもす、かむ様じぇすか?」
 …姉さんは練乳業者を神格化した模様。
「かむ様!あるがどう!、最高じゃたび、
ぬぁめらがなぬぉどごすに、パンツなる甘味…」
 奇跡が起きて話が通じている…。
 やっぱり、オペレーターに神がいる…。
 大丈夫だな、と安心した笑顔のテイちゃんは、
散らかった段ボールを片付け始めた。
 自分が作ったものに、ここまで感激して
もらえたら、嬉しいだろうな…。
 お客様は神様ですって思っちゃうかも…。
 ……チリン♪︎受話器を置く音がした後、
姉はテイちゃんの背中に飛び付いた。
「テイちゃん、このれんぬぅをテイちゃんに、
ぬりぬりしてっペロペロしちゃげるね♡」
「お客様、その使用方法はやめて下さい。」

4/15/2023, 4:34:54 AM