陽月 火鎌

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「お前、今なんつった?」

低く、怒りと驚愕が交じった声。
その声の主である木別は、目の前の彼を見ている。

「鶏弐お前、小麥や片久里を…珠子も捨てて、天父に行くのか……?」

出会ってから、数十分しか経っていなかったかもしれない。だけど彼らの仲の良さに時間なんて関係無かった。

「はい、木別さん。天父と木別さんの相性は、小麦や片栗、珠子殿よりは良くないと判断したため、今晩は…」

鶏弐は真剣な表情で木別を見つめる。
二人の心境は最早、第三者である我々の力でも読みきれないだろう。

「くっ……アタシを、捨てるんだろ?サッサッと行けよ」
「いえ、木別さん」
「な、なんだよ…?」

鶏弐は木別を真っ直ぐ見つめている。
そんな鶏弐に、木別は少し戸惑いながらも言葉を交わす。

「明日は、小麥や片久里、珠子と共に行きましょう。幸い、私は大きいですから」
「へ……?」

間抜けとも言える、気が抜けた声。

「天父、根サーズの方々のファンですが、お一人だとお恥ずかしいらしく、仕方なく」
「あ…」

木別は知っている。根サーズはとても万能で、どんな難題も持ち前の対応力で大抵こなしてしまう、有能集団だと。

「えと、その………兎も角、明日の晩は、皆で…行きましょう。同じ袋に入った縁ですから」
「⸺……ふっ、仕方ねぇな。鶏弐!」



「アホというか、トンチキ系の夢見ちゃった…風邪の後遺症かな」

目覚めた時、喉が渇いていたので水を飲みに流し台に向かう道中、先程まで見ていた夢を思い出していた。
今日と明日の晩御飯は、揚げ物かな。
そんな風に思いながら、登場人部たちの元の食材なんかを考えていく。

木別はキャベツ。
鶏弐は鶏肉。
小麥は小麦粉。
片久里は片栗粉。
珠子は卵。
天父は…天ぷら粉、かな。
根サーズは………根菜類?
人参とかジャガイモとかがメンバーに居るんだろう、多分。

「ていうか、パン粉ハブられてんのかな…?」
その日の昼食は、チキンカツ定食を注文して美味しく頂いた。メチャウマだったです。

【昨夜はとり天、今夜は唐揚げ】

10/23/2024, 8:13:57 AM