紫小灰蝶

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冬になったら近所の川に鴨がやってくる。
そこそこ大きく育った鴨たちだ。
ほとんどが地味な見た目をしているから雌だろう。

冷たい風が綺麗とは言い難い水面を走る。
上着のポケットに両手を突っ込むくらい寒いのに、平然と泳ぐ彼女たちに負けたような気がした。

私は時間の許す限り観察してみた。

まるまるとした体にちょこんと乗せた小さな顔。
靴ベラのようにつるっとしてそうなくちばし。
尻尾を振りながら歩く様子はどこか愛くるしさを感じる。

羽を広げて手入れしているので、身だしなみもバッチリだ。

ズボラな私とは大違い。

橋の上から彼女たちを眺めていたら、踏切の音が聞こえる。
そろそろ電車が来るころだ。

私は間に合うように走りだした。

また明日、鴨たちに会える期待を抱いて。

11/18/2023, 9:36:55 AM