道を歩いた、レンガの道を。
ふと空を見ると雨は雪に変わっていて、手のひらに舞い落ちた雪はすぐに体温で溶けてしまった。
それから、自分でどこに行く予定だったのかも忘れて、いつも行く公園に足を進めていく、寒さが頬るがそれすらも冬という季節を靡かせているかのようだ。
知らず知らずの間に時間は午後の7時を指していた。帰るべきか否か…いやどこに帰る?、公園に着くとベンチに積もった雪をどかし座る、するとどこからかコーンと小さく響いた音がした。遠くからの音だろうか、ああ思い出した。
目の前には優しく微笑む女性がいて、雪に少し隠れたスターチスの花束を持っていた。自分はそっと彼女の花束を受け取って立ち上がった、感情に咳き込まれるように彼女の手を引き抱き締める。
彼女の頬には少し水滴が付いており、雪が溶けたという彼女の目は赤かった、泣いていたのだろう。
優しく頬を撫で、自分の全てで彼女を包み込むように強く抱きしめ直し、目を潤ませながら何度も謝った。
題名『若年性アルツハイマー。』
12/14/2025, 3:47:56 AM