300字小説
微笑み返し
「君の目を見つめるとキラキラ光が見えるの」
子守りアンドロイドの私がお世話していた嬢ちゃまは、よく私の目を覗き込んだ。
「これは奥のカメラのレンズが光を反射しているだけです」
「でも、とっても綺麗よ」
そう言って、嬢ちゃまは私に微笑まれていた。
経年劣化より幼い頃から私のことを育ててくれていたアンドロイドが機能を完全に停止した。
規定により機体回収センターに彼女を送る。頼んだオプションでメモリーを一部コピーしたチップが送られてくる。
「私の映像ばっかり」
はじめはキラキラ光る目が好きで、覗き込んでいたが、そうしているうちに彼女も不思議と笑むようになった。
私の瞳を拡大する。嬉しそうな笑顔がそこに映っていた。
お題「君の目を見つめると」
4/6/2024, 1:04:13 PM