綺麗なハートのはずが歪になったチョコレート
アイツに渡すつもりだったけど自分で食べようと思っていた。
人気のない屋上で、お弁当を食べて
ラッピングされた箱を乱暴に開ける。
ビリビリと包装紙を破いて、一粒のチョコを摘む
口に運ぼうとしたら、自分の前に影がぬっと現れて
手が止まってしまった
「なにしてんだよ。こんなとこで」
アイツだ。アイツが来た。
なんで?友達とご飯食べてたじゃん?
どうしてここに?
頭の中が真っ白になる。
「お、これ。バレンタインのチョコか?」
「と、友チョコ…貰ったから食べようと思って」
咄嗟の言い訳にしてはよく言えたと思う。
するとアイツは箱から1粒のチョコレートを摘んで口に運んだ。
「うん、形は歪だけど美味い」
「あ、あ、……そう」
「?」
多分、見せらせないほど今は顔が真っ赤だ。
アイツから目を背けながら私は呟いた
「……作った子にアンタの感想、言っとくわ」
「おう!来年は俺にもよろしくって言っといてくれ」
今年はこれで満足
来年はもう少し頑張ってみようかな…
そんなことを思いながら、チョコを口へと運んだ。
2/15/2023, 2:41:16 AM