ベッドに滑り込みスマホを見る。ブルーライトが目を焼くけれど触っていないと、世界に置いていかれそうで不安になる。
SNS、動画サイトを順番に巡っていく。私の好みを完全に理解したアルゴリズムの船に乗ってネットの海を駆け巡る。
私には夢もやりたいこともない。これまで特に頑張ってきたことも、得意と言えるようなものもない。
他人から評価されるリアルの世界において、私のような空っぽな人間は無価値だ。求められるのは現状を維持するために動き続ける歯車か金の卵を生むニワトリだ。
生産性のない人間は好きなものを動けなくなるまで貪り食うしかない。
なんて怠惰で最高な人生だろう。
あなたの活躍をお祈り申し上げます。この度は縁がなかったということで…。
世間からお前は無価値だという烙印を押されるたびに感情が消えていく。
好きなことだけで生きていけるほど世の中は甘くないらしいが、厳しかろうとなんだろうと好きなものに囲まれて生きていけるのなら幸せではないか。
誰に言うわけでもないが、言い訳をぶつぶつと考える。
分かってる。好きなものにしがみついていたとしても一寸先は闇だ。明日、明後日、来週、来月、1年後の不安が一生付きまとうのだ。
涙が溢れる。みんなと同じように足並みを揃えて普通に生きてきただけなのにどうして私だけこんなんなんだろう。
鳥の声が聞こえる。カーテンから光が漏れ出す。
涙が重すぎて瞼を閉じた。
12/5/2024, 10:54:37 PM