とある恋人たちの日常。

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 クリスマスシーズンが近くなり、クリスマスマーケットを目的に仕事終わりのデート。イルミネーションがキラキラ輝いて、彼女の瞳も同じように輝いていた。
 
 俺は彼女を見つめている。寒さで頬を赤くしながらイルミネーションを見上げていた。
 
 指先を口元に寄せて息を吹きかけるて暖めている。
 
「あれ、手袋は?」
「会社に置いてきちゃいました」
 
 照れたように笑うけれど、彼女の指先は寒さで赤くなっていた。
 
 俺は手袋を片方だけ外して、彼女に向ける。
 
「片方、貸してあげる」
「片方だけ?」
「片方だけ〜」
 
 彼女はちょっとだけ不服そうに唇をとがらせる。でもいたずらっ子のように微笑んでいた。
 
 彼女が俺の手袋をすると、手袋をしていない方の手を取って恋人繋ぎをする。
 
 彼女は目を丸くして俺を見つめてくるから、また可愛いんだ。彼女と繋いだ手をそのまま俺のコートのぽっけの中に入れる。
 
 やっぱり驚いていたけれど、直ぐに笑顔になった。だから俺も得意げな顔で彼女に言った。
 
「これならどっちも暖かいでしょ」
 
 
 
おわり
 
 
 
二〇七、手を繋いで

12/9/2024, 12:38:04 PM