奇跡をもう一度
どうか、神様。
公園のベンチに座った私は、心が千切れそうな思いに強く目を閉じる。
「奇跡なんて望んだことはなかったな」
目を開けるとあなたは背中を向けて立っていた。
その言葉に笑うべきなのか、泣くべきなのかわからない。そうだね、あなたは何でも自分の力で切り拓く、そんな人だもの。
その時あなたは私を振り返った。
「……でもそれは僕が、奇跡をもう一度と願うほどの痛みを知らないだけだった」
少し口ごもりながらあなたはそう言って、私の手をとり、強く握り締めた。
#45
10/3/2023, 9:48:56 AM