たろ

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※閲覧注意※
幼馴染シリーズ

【無色の世界】

どうということもない、代わり映えのしない日々。
色なんて、付いていた所で、何の意味も無いと思っていた。
大切な人が健やかに日々を過ごしているだけで、生き辛い世間の間でも息が出来る。


大切な人が、どうでも良い存在に傷つけられた日、目の前が真っ赤に染まった。
それから、その大切な人は虚ろな瞳を空中に置くようになって、焦燥感に染まった世界は無味無臭で本当に色がなくなった。
大切な人が、虚ろなまま息を吸って、吐いて、それを確認する度に安堵した。
愛しさが募って、目を離したくないと思った。
大切な人の周りだけ、色が仄かに戻って来た気がした。




眠れない夜も、朝日の眩しさで揺り起こされる日も、あなたが居たから乗り越えられた。
足手まといになるのが嫌で、独りでも大丈夫だからと虚勢を張ったのに、あなたは諦めなかった。
「一緒に、居たいんだ。ただ、それだけ。」
何も要らない、ただ傍に居させて欲しいと願ったあなたを、突き放せなかった。

押し潰されそうな日々に、あなたが居るだけで、息ができた。
「大丈夫、ココに居るよ。」
あなただけが、無色の世界に色を運んでくれた。
あなただけが、温もりを分けてくれた。

4/19/2026, 9:07:00 AM