喪失感
言いようのない喪失感に苛まれ、
がらんどうの心になる。
たびたび訪れるそれを、
何度も乗り越えようと試みたり、
自らが強くなろうと心を鼓舞してきた。
そして、
喪失感は埋めるものでも、
克服するものでもなく、
「受け容れる」ものだと、
今ではそう思うようになった。
消そうとしても消せず、
埋めようとしても埋められず、
克服しようとしても克服できぬなら、
静かに受け容れるしかないのだと。
自らが内に抱える、
喪失感と仲良くなるしかないのだろう。
「来たな、おいで…」と。
人の内に抱える喪失感は、
心の「印」のようなものなのかもしれない。
他の誰でもない、私が私であることの命の証。
時にそれは、
堪え難い痛みや苦しみで心が行き場を失くしてしまうけれど、
言いようのない喪失感すら、
ギュッと抱きしめられる、
そんな自分で在りたいんだ。
心の内に、
そっと降りていき、入ることのできる、
そんな心の扉、心の部屋と共に。
ソンへ
9/10/2023, 11:23:34 PM