心のざわめき
それはよく知っている
一寸の狂いもないよう測った
ツルが巻き付く喉仏は捨てた。
焼却炉で温めたはずのご飯は、灰になっていて、
後から知って当たり前だと理解する。
人々からの深い視線の色は見えなかった
指で形を作るだけじゃ分かりきらないと知った
安全は食べても消化される
危険は食べたら消化されない
そうして体内にいまだにゴロついてる異物が
ふと、
どうにも…。
公園を通りかかると
視界に浮いた水玉が風に揺れる
見つめる余裕はなくて
足を速めた風で切って消した。
握ったはずの拳はいつしかほぐれていた
自分の意思で握れなくて
あぁ自分のじゃないから当然かと腑に落とす
冷えたボロネーゼが口で弾けた。
草木が薄暗い風にゆらゆらと身体を揺らすものだから
届かない罵倒を溢れた唾液が土染みる
空を見上げれば灰色
眼がおかしい空がおかしいのか確認する気は起きない
降っていたはずの雨は地に横たわっている
もっと暴れてくれよ
エアコンに靡く洗濯物が雑巾に見えた
気持ちの悪い音が耳の奥に住み続けていて
静かな夜が訪れるのがあまりに恐ろしい
いつしか目が覚めたら何も見えなくなって
暗闇に閉じ込められるかもしれない
そんな妄想で私は死ねる
沁み込ませたいものは大体触れると砂屑になって指指をすり抜けて
朽ちていってしまう
触らない方が綺麗だから
ただ笑って見つめている
怖がらせないように
遠く
遠く
遠くから。
人の命を奪いながら生きている
少しずつ削り落としていく
そうしている間に自分も削れていっている
どこにいても
何をしていても。
マスタード色のハンカチが鮮やかで気色悪かった
きっときみからみたら
薄暗い世界で立ち竦む僕の方が気色悪いんだろうけど
薄暗い世界から見る色はあまりに不自然で
込み上げてくる嘔吐物は無臭だった
みんなが明日の方向を向いて時間を決めるなら
僕はその規律を壊すために昨日へ走る
誰かに追いかけられても追いつかれないように走る足を止めない
ほつれて崩れて腐敗するまで止めない
もしそうしたことで全てが壊れたならば僕の本望だ
過去も未来もない
右が左かじゃない
どんな線もないまっさらな世界で
迷走する誰かがいるなら
線を生み出す誰かがいる
そんな奴を僕は異端者と言って火炙りにしてやる
いつかの君みたいに。
3/16/2025, 6:32:01 AM