ヒロ

Open App

学生時代に聴いた言葉で、未だ印象的なものがある。
学期末ごとに控えた試験さえなければ、聞き流すことも多く、板書を追うばかりだった倫理の授業でのこと。
先述の通り、さして興味も薄く聴いていたものだから、一体誰の名言だったのか。偉人の名前をとんと思い出せないのがお恥ずかしい。
それでも、分かりやすく噛み砕いて教えてくれた恩師の言葉の一節だけは今も覚えている。

人生とは、例えるなら錆び付いた指輪である。
錆が多く、辛く苦しいことが多くとも、一瞬でも光り輝く、宝石のような幸せな時間があるのであれば、その人生は輪を巡って、何度でも繰り返す価値のある有意義なものである。

かれこれ十年以上も前のことなので、恩師の言葉も、そもそもの偉人の言葉としても、ニュアンスや意味までもが曲がってしまっているかもしれない。
そうだとしても、
困難にあるとき。
悩み立ち止まるとき。
度々思い返すもののなかに、この言葉がある。
学生の頃はここまで記憶に残るとは夢にも思わなかった。

きっとこれからもこの言葉を思い出し、また道しるべを貰うのだろう。
願わくば。忘れてしまったかの偉人の名を、いつかまた知りたいものである。


(2024.01.04 title:003 幸せとは)

1/5/2024, 9:58:33 AM