「もしも過去へと行けるなら」
「過去に行って、変えたい未来はありますか?」
大学の講義中に教授から質問されたある学生。
「ありません。」
間髪入れず顔色ひとつ変えずに首を真横に振ってそう答えた。
なぜか、そんな彼女のその発言が脳裏に焼き付いて、閉講後、思わず彼女に声を掛けた。
「あ、あのっ。今の講義で…過去へ行けるならっていう質問の答えなんですけど…。」
「…あぁ、今までたくさんの選択をしてきて、私の人生がある。変わることない過去の事なんかクヨクヨ悩んでても仕方がないと思ったから、ああ言ったまで。まぁ、究極のポジティブってかんじ?」
「ふふっ。(相変わらず最高にポジティブだな。)」
「?」
明るくそう言った彼女から目が離せなかった。
もっと彼女を知りたい、私に無いものを持っている彼女に。
そしていつか打ち明けたい、私があなたと出会うために過去へ戻ってきたことを。
7/24/2025, 10:37:58 AM