「届かないのに」
今日もおちびと一緒に散歩。
おちびは景色を眺めながら歩く。
前見ないと危ないぞ?
公園に来て、ベンチに座った。
さて、おちびは何して遊ぶかな?
そう思って様子を見ていると……。
「ニンゲンしゃーん……たいへんなのー……。」
おちびが不安そうに自分を呼ぶ。
なに?何があったの?
「ねこちゃ、きにいるのー!」
???猫がきにいる?
「どれ?どういうこと?」「あれ、みてー!」
指差す方向を見てわかった。
茶トラ猫が木の上で震えている。降りられなくなったらしい。
「たしゅけたげてー!」
……全く、木登りは得意じゃないんだけど、頑張るか。
と思っていたら、おちびも登ろうとしてる。
「ちょ、危ないから駄目だって!」「むー!」
頬を膨らましてるけど、駄目だよ?
……というか、どれだけ背伸びしても無駄かも。
おちびは小さすぎるので、木の節にも枝にも手が届かない。
届かないのに───届かないけれど、それでも手を伸ばす。背伸びをする。
「むー!とどかないのー!」「下で待っててね!」「んー。」
もうすぐ手が届きそうだ。
「ほーら、大丈夫だよー?」
その時だった。
「フシャーッ!!!」
威嚇に驚いているうちに、猫は自力で木から降りていってしまった。
「ねこちゃ、ありがとっていってたねー!」
「いや、絶対言ってないから!!」
降り終わるより前に自分は叫んでいた。
……さすが猫だ。やっぱり猫のことはよくわからない……。
6/18/2025, 10:03:24 AM