灰田

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「無垢」

無垢、とは憧れだろうか?
無垢なものは己が無垢だと知らぬ。きっと、そんなこと、思いつきもしないんだろう。…赤ん坊のように。

だから無垢の外側にいる私が、それ、を創ったのかもしれない。そして私は、
無垢を愛し、憧れ、守ろうとするものになる。

…無垢を装うことは、決して出来ない。
演じることは出来るかも知れないが、それは演者そのものじゃない。

それは、何処かへ帰ろうとする意思だろうか?
「無垢」が…この概念が生まれたなら、それは、無いものではない…確かにどこかにある何かだ。
無…と名付けられたものではあっても。


鈴の虚の、空間のなかに響く音。

響く音はあるが、幽かな吐息のような、 

捕まえようとするけれど、形がなくて………だから、

何のとっかかりもなく指先が空を切って、

「無垢」を求め………

求めているから、あることは、わかっている…

けれど、それは多分
見つけようと思っても見つけられないような、


とても、とても、近く……………





5/31/2024, 10:59:33 AM