罅割れた指先で頬の輪郭を辿る
淡く染まる肌の温もりを私は知らない
私は少女の夢の形
枯れることのない花、けれど永遠などなく
どうせ彼女は去っていく
波打つ髪のリャナンシー
振り返らない背をただ見送る
声帯のない喉では名を呼べない
陶器の手足では歩けない
虚ろなこの目では、追い掛けられない
いずれ褪せる夢ならば、踏み潰してしまいたかった
愚かな乙女、あなたの願いは叶わない
難破船の行方なら誰より分かっているでしょうに
けれど、ああ、そう、そうだった
私、恋するあなたに、恋をしていた
セントエルモの火よ、どうか彼女を導いてほしい
彼方の楽園へ
朽ちた人形の届かぬ先へ
(大好き)
3/18/2025, 12:27:57 PM