手を取り合って
誰と、何処へ向かおうか。
幼い頃に、握りたかった手は
私の低い目線からでは
顔が見えず、その手の感触だけで
父だと、わかった。
そうして、多感な時期を
迎えるよりも随分と早くに
私は、頼れる温かな掌を握る事が
出来なくなった。
そうして、世代は移り変わり
本来ならば、手を取り合って育てるべき
わが子たちの、温かな手を
私は、ひとりで包み込んでいる。
この命より尊い、温もりが
心の中では不変であれ
いつか、見守るべき時の訪れを
私は、知っている。
だからこそ、今は沢山沢山
手を繋ごう。
私が欲しかった分まで
何もかもを、注いでゆこう。
【お題:手を取り合って】
7/14/2024, 7:28:45 PM