こっこ

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不完全な僕


名のしれた大学を卒業した。地元では優等生で通っていた僕。
東京にある大手の企業に就職も決まった。
家族も友人も喜んでくれたけれど…。
これで良いのか?と、いつも漠然とした問いかけが自分を襲った。
順風満帆に親の勧めるがままの進路を生きてきた自分が、全く価値のない人間にも思えた。
敢えて茨の道を進みたくなる衝動が抑えられず、新人歓迎会の翌日、今まさに辞表を書いている。
手持ちのお金は、今月分の家賃と親戚やら親から貰った就職祝いのお金。
ここより狭く綺麗ではないが、近くに安いアパートも見つけた。
僕は聖人君子でもないから、めちゃくちゃな夜も経験したい。
ただ、何ものかにはなりたかった。根拠のない自信だけはあるのが笑ってしまう。
これから、家族も友人もなにもかも失うかも知れない。世間は馬鹿な奴だと笑うだろう。
不完全な僕は、それでも生きていけると強く思った。
今夜は、ライブハウスで朝まで音楽に浸りたい。
PUNKが聴きたいな。ヘヴィメタルも…。
翌日は、古本屋で読みたかった古典文学を大人買いしよう。
満喫で漫画の一気読みもしたい。
バイト先もみつけなきゃ。
何故だか顔がニヤけてくる。
親の描くエリート路線に乗っかる人生を捨てた。
完全でない自分を愛していこうと思った。
心の赴くままに。
足掻きながら生きていこう。
何者かになる為に…。

8/31/2024, 11:50:28 PM