はた織

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 夢を持たぬ子どもに人権は無い、そんな強迫観念染みた考えに洗脳されていたのかもしれない。
 保育園、小学校、中学校の自己紹介の用紙に、将来の夢を書かせる欄が必ず印字されている。私の将来の夢は、始めは花屋だったか、その次はゲームクリエイター、そしてファッションデザイナーを目指したいと憧れていた。
 ただ後々から、どの夢もつまらなくなった。人に仕事内容を伝えて共に取り組むという流れが嫌だった。子どもの頃から、とにかく一人で仕事をしたかった。
 ただ一人で職務を全うするには、あまりにも器量も才能も体力もなかった。本当に夢のような話だ。第一、将来の夢を職業の言葉でしか表現できないのは、あまりにも苦痛である。
 他にも夢があっただろうと、子どもの私に話しかけてみたが、大人になることが“夢”であって、その大人はいつも仕事をしているから、何か職を持たねば大人になれない、夢も無いでしょうと真っ直ぐな瞳で見つめてきた。何とも夢の無い話だ。
               (250623 子供の頃の夢)

6/23/2025, 12:43:07 PM