川柳えむ

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 夜、窓の外がやけに明るい気がして、僕はふと目を覚ました。
 起き上がると、カーテン越しに光が瞬いているのが見えた。気になって、そっと窓を開けてみる。
 窓の向こうの、家の前の通りに、星の形をした街灯が立っていた。柔らかな光を放ち、夜道を優しく照らしている。

 あんなのあったっけ……?

 僕は寝ている両親にばれないよう、そっと窓から外に出た。

 導かれるように、星の街灯の道を辿る。
 行き着いたのは、開けた場所。
 夜空いっぱいに、零れ落ちそうなほどの星が瞬き、こちらの様子を窺っている。
 声が出ない。
 だって、それはあまりに美しく、幻想的な光景だった。
 優しい星明かりが僕を照らす。
 満足した僕は、そのままそっと眠りについた。

 あれから、もう何年経ったか。
 あの後、普通にベッドで目が覚めたから、きっと夢だったのだろう。
 それでも僕は今も探している。
 あのあまりにも美しい、星明かりの夜を。あのたくさんの星が見守る場所を。


『星明かり』

4/20/2025, 10:51:39 PM