「あんた子供の頃はもっと大人しかったのになぁ」
どうやったらこんな風に変わるんだよ、とぼやく女は私の古い幼なじみだ。さらさらな黒髪ロングヘアーとすらりとした体型が、セーラー服によく映えている。なかなか失礼なことを言いやがるそいつは、酷く鮮烈な青空と雄大な入道雲をバックに、フェンスにもたれ掛かりなからこちらを見下してくる。
「なんだよ失礼な」
私たちは今学校の屋上にいる。開放はされていないが無理やりこじ開けた。
「いやだってさぁ、あんた昔はもっとこう、お淑やかーなお嬢様、って感じだったからさあ。そんなやつが人巻き込んで授業サボるようになるとは思わないじゃん。」
「たまにはいいじゃん。そっちだって乗り気だったくせして。」
睨みながら見上げる
「悪いとは言ってないし。でも今の方がずっとあんたらしいよ」
笑いながら私を見るあんたは知らなかろう。あの頃の私がどれだけあんたに救われていたか、どれだけあんたといるのが楽しかったか。まあ、そんなことは私だけが知ってればいいんだけどね。
太陽を被って眩しいあんたを見ながら、でっしょ〜??
とおどけて見せた。
お題「子供の頃は」
6/23/2024, 11:18:03 AM