燃える葉
自分に前世の記憶が少しだけ残っていることに気づいたのは最近だった。
そんな折、僕は無性に京都に心惹かれ時間を作り、秋の古都を訪れることにした。
初めて赴いたはずなのに、昔からこの地をよく知っているように感じた。
街中を適当に歩く中、ある石碑の前で勝手に脚が止まった。
その石碑には『本能寺跡』と彫られており、それを見た瞬間、記憶が雪崩のように押し寄せる。
そうか、僕の前世は彼だったのか。
その日の日暮れ、最後に訪れたある旧家。日本らしい侘び寂びを感じる趣ある旧家屋。
外の景色を眺めた時、僕は、いや、彼か?
密集する紅葉がまるで建物を覆い尽くす炎のように赤黒く揺れ、身震いしながらその場に崩れ落ちた。
まさしく燃える葉。
儂を焼き殺した、燃える葉よ!
10/6/2025, 10:47:58 AM