手を伸ばす。
その手は夜空に浮かぶ星をつかめない。
これだけ離れていれば当然だけれど、どうしても手を伸ばして求めてしまう。
届かない……。
パシッと手が何かに掴まれる。その衝撃で俺はぼんやりとしていた意識を現実に戻された。
手には暖かい恋人の手がしっかり掴まれている。
心配そうに彼女の瞳が、俺を捉えていた。
「大丈夫ですか?」
不安の色をまとった瞳なのに、俺は彼女を見ていると安心して彼女の手を掴んだ。
驚きとともに彼女がふわりと笑顔をくれる。
彼女の手を自分の額に寄せて瞳を閉じた。
俺の、俺の星には手が届いた。
おわり
三五七、届かない……
5/8/2025, 1:57:30 PM