忘れたくても忘れられない。いや…何があっても忘れたくない大切な日
それは、俺と妻が結婚する前の事。俺は慣れない高速道路を雨の中、少し緊張しながら彼女を乗せ、彼女の実家へと向かっていた。彼女の両親への結婚のお願いの為に(1泊2日で)
ちなみに俺の両親はあっさり彼女との結婚を認めてくれた
同棲中の彼女とアパートを出たのは11時頃の事だった。本当は9時頃にアパートを出る予定だったけれど、二人で録画が溜まっていたドラマを見ていたら遅くなってしまった。
アパートを出発して高速道路に乗ってから2時間程した頃だった。途中のサービスエリアで一緒に、休憩も兼ねて温かい わかめうどんを注文して昼食として食べた。だけど彼女の両親への結婚のお願いの緊張感からか、注文した わかめうどんが美味しく感じられなかった。失礼な話、本当に美味しくなかったかも知れない。
ちなみにこの時以外、そのサービスエリアは年越しの為に家族4人で妻の実家へ行く途中のトイレ休憩としてしか利用しておらず、そこで食事をしたのはその時1度きりなので真相は不明です
30分程で昼食を終えると雨が弱まってきていた。
それから15分程、再び高速道路を走行していた時にラジオで
渋滞情報を耳にして、時間がかかりそうだったから途中で降り、そこからは下道を使って、高速道路を走行する時よりは
緊張感を緩めて彼女の実家まで車を走らせた。その為、当初の到着予定時刻よりも、最終的に彼女の実家への到着時刻が大きく遅れる事になり、到着したのは夕食の少し前でした😓
渋滞を抜けた先の高速道路に再び乗ると言う方法も有りましたが、普段以上の強い緊張感から抜け出したいと言う思いもあってその日は、再び高速道路に乗る事はやめました😅
カーナビを頼りに、少しずつだけど確実に近づく彼女の実家への緊張感から、俺は少し気持ち悪かった。ちなみにその時彼女は、そんな俺の気持ちなんて知らないとでも言いたい様に口を小さく開けて少しヨダレを垂らして寝ていた。その当時は正直
(人の緊張感も知らないで呑気に寝るな)と、起こして言いたい気持ちはありました😅 それから30分程で目を覚まし、あくびをしながら「寝てた?」と言った時は少しイラっとしましたw
彼女の実家へ行く途中、○EON(企業名につき伏せ字)で彼女の両親への手土産として、一番高い菓子折りを買いに寄った。その時には完全に雨は止んでいた。そこで俺達の対応をしてくれたのは、彼女の高校時代のクラスメイトだったみたいで、彼女とそれなりに親しげに話していた
彼女の実家へ到着した時には、外はすっかり暗くなっていた。俺は彼女の実家の横に車を停め、彼女と一緒に家に入った
「ただいま。遅くなってごめん」
俺はこの時、緊張して何と言ったか覚えてません💦
リビングでは彼女の両親がテレビを見ていた。
それから少しして夕食が始まった。その夕食の途中で高校生の彼女の弟が部活から帰ってきて少し会話をした。それからすぐに彼女の弟は机に置いてあったおにぎりを2個食べると、塾へと自転車で行った。ちなみにその日の夕食はステーキでした。
夕食が終わるとそれからは4人の気まずい時間。俺が「お願いがあります」と言おうと思った時、彼女のお母さんが「皆んなで歩きにこ。食後の運動」そう言って4人で彼女の通っていた小学校まで片道15分程のウォーキングをする事に。俺は彼女のお母さんから懐中電灯を借り、4人でのウォーキングが始まった
その道中で彼女のお父さんに話しかけられた
「ステーキどうやった?美味しかったか?」
「はい」
「それは良かった」
そこで会話が終わってしまって気まずく感じた。そこから俺は彼女の両親と少し離れ、彼女と一緒に今日の事を話しながら歩いた。
30分程のウォーキングを終え、程よく汗をかいて帰ってきたら今度は彼女のお父さんから「2人で一緒に風呂入りに行くか」
そう誘われて、俺の運転で、車で片道10分程の温泉施設に向かった。けれど車内で互いに無言の時間が続いて地獄だった。風呂でも会話なんて殆ど無かった。そして風呂上がり。「運転ありがとうな」と言って牛乳を奢ってくれて、一緒に飲んで家まで帰った。それから再び会話は無く、長時間の運転の疲れもあった俺は先に寝る事にし、電気を消して客間に敷かれた布団に入ってウトウトしていた時、客間の襖が小さく開けられて、彼女のお父さんが俺に声をかけてきた
「親としてはまだあの子、人に出すには心配だけど、それでもええか?」
それに俺は迷わず答えた
「同棲して得意不得意も分かりました。それでもこの先も一緒に居たいです」
「変わりもんやなぁ。でも、あの子も同じ事言っとったし。それなら貰ってくれ」
そう言った彼女のお父さんの声はどこか寂しくも嬉しそうな声だった。
「はい」
こうして俺の長い一日は終わった。
忘れたくても忘れられない 作:笛闘紳士(てきとうしんし)
10/17/2024, 1:47:48 PM