自分は、三年前に娘を亡くした。
妻は出産と同時に、体の負担に耐えられず亡くなり、娘は、一歳を迎えた頃に白血病で亡くなった。最期に、私の耳元で弱々しい声で口を開いてくれた娘の言葉は、忘れられない。
当時、シングルファーザーの自分は、娘のための出費でカツカツ。投薬も手術も行い、何度も仕事を休み娘に寄り添った。そして自分はご飯を抜いてまで出費し、痩せ細っていたのを覚えている。
そしてその一年後、寄り添ってくれた女性と結ばれた。そして産まれた息子は、あまりに娘と似ている。そして一歳になった息子が口にしたことは、奇跡と呼べることなのだろうか。
「僕の、お姉ちゃん白血病だったんだね」
私は一度も娘の話をしていない。なぜ息子の口から娘の話題が出てきたのかは分からないが、きっと風の運んでくれた奇跡だと思っている。
3/6/2025, 10:20:58 AM