「もっと知りたい」
この星にやってきてから数日!!!この星に関するデータはボクの記憶領域にだいたい格納済みだ!!!しかし、データを手に入れただけでは満足できない!!!
だからボクはもっと知りたい!!!
この星の食べ物。この星の文化。この星の概念。
そして、キミの好きなもの。キミの心を温めるもの。
キミはどうやら今までのニンゲン関係に恵まれず、あまり充実した人生を送ってこなかったみたいだ。
だから今でも、ひとりぼっちだ。
ボクの知的好奇心を満た───いや、ボクが管轄する宇宙のひとつを吸収する謎の存在の正体を突き止める為に、そしてキミの人生を少しくらいは豊かにできるように、ボクはもっと知りたい!!!
「というわけで、教えてもらおうか!!!」
なんなんだ急に!教えろと言われたって何を教えればいいのか分からない!
「研究の役に立ちそうなことならなんだっていいんだ!!!なんなら昨日の晩に食べたもののことでもいい!!!」
本当にそんなものが役に立つのか?
だいたい、こういう研究は信頼関係があってこそ成り立つものだろう?
「確かに、キミの言い分も一理ある!!!だが、今はとにかく!!!ボクが仕入れた星ひとつ分のデータが正しいかどうかを確かめたいのだよ!!!」
星ひとつ分のデータとか言われても、自分はそこまで物知りではないうえ、自分のせいでデータの中の「正しさ」が歪んでしまう可能性もある。一面だけで物事を判断するのはあまりにも危険だ。
「そう言われてもだな……ボクを認識できる知的存在がキミしかいないんだから仕方ないだろう!!!それに、ボクはマッドサイエンティスト───つまり、研究者の端くれということさ!!!そのくらい百も承知!!!まあいい、とにかくなんでもいいから話してくれたまえ!!!」
そうだな。
「うんうん!」
昨日食べたものは、
「うん?」
もつ鍋。
「もつ鍋」
そう、もつ鍋。
「なるほどなるほど……」
「……って、それでボクが納得するわけなかろう?!?!!いいかい、今夜はボクが満足するまで話してもらおうか……!」
はぁ……まだ寒い季節なのに夜更かしか……。
世界を救うために、頑張るか。
3/12/2024, 5:44:19 PM