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小さく喉が鳴ったのが自分でもわかった。


白くすんなりとした脛からから続く、薄く桃色に色づく華奢なくるぶし。
そのままなぞるように目線が辿る指先には、淡く小さな桜貝の爪。
丁寧に形が整えられたその可憐な爪先は、何も塗らずとも光を反射し濡れたように光っていた。

その存在に気づいてしまったが最後、魅入られたようにその無防備な爪先から目が離せなくなってしまった。


後に、急に喋らなくなった俺を不審に思った彼女が、目線が辿る先に気付き、クッションを手に真っ赤な顔で殴りかかってくるのだが、これに関しては正直大変不服である。


……手を伸ばさず我慢しただけ褒めてくれていいと思う。



『貝殻』

9/5/2023, 11:56:30 AM