【誰よりも】
「またテスト100点じゃん!」
先程の授業で返された用紙を見て友達が目を輝かせて話しかけてくる。
僕は恥ずかしくなり、少し目を逸らして笑った。
「いつも満点だよね。いっぱい頑張ってるんだね。ボクも頑張らないとなぁ」
「いつもじゃないよ。この前は間違えたとこあるし」
僕がそう返すと、友達はそれでも十分すごいと語気強めに言った。
「君のお母さんたちも喜ぶんじゃない?」
その言葉に僕は少し戸惑う。というのも、僕の両親は完璧主義なところがある。
僕が前回の答案用紙を持って帰った時に少し不機嫌になったのだ。今回の点数をみれば確かに褒めてくれるかもしれない。
だけど次の一言には決まって、
「次も100点取れるよね」
と言うに違いない。
僕は友達を見る。彼は曇りのない瞳で僕を見ていた。
僕は誰よりも努力して満点を取る。彼は誰よりも純粋に他人を応援して寄り添ってくれる。
そんな彼を見てると、僕は少しだけ劣等感が募り羨ましく思うのだ。
2/17/2024, 9:30:35 AM